福岡市博多区の行政書士つる(@ryoya_tsurusawa)です。
一般的に風俗営業と言うと、性風俗を思い浮かべるかもしれませんが、
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)では、「性風俗関連特殊営業」に分類されております。
そのため、狭義の意味では風俗営業ではありません。
一方、風営法では、料亭やキャバクラは風俗営業に該当します。
また、雀荘やゲームセンターも風俗営業です。
全く事業や営業スタイルが異なりますが、狭義の意味ではどちらも風俗営業です。
今日は、どのような営業が風俗営業に該当するのかを解説します。
風俗営業とは
風俗営業とは、風営法2条に規定されている営業(1~5号)のことです。
以下の表は、風営法に規定されている営業をまとめたものです。
多くの営業が分類されていますね。
これら一つ一つについて簡単に説明します。
風俗営業
接待飲食等営業
1号営業 料理店、社交飲食店
●定義
引用:風営法 第2条第1項1号
キャバレー、待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食させる営業
店舗例は、キャバクラ・料亭・ホスト・スナックなどです。
1号営業のみ「接待」ができます。
その他の営業許可では接待はできませんので、ご注意ください。
接待については、下記の記事で説明しています。
2号営業 低照度飲食店
●定義
引用:風営法 第2条第1項2号
喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、客席における照度を10ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業を徐く。)
店舗例は、カップル喫茶です。
接待飲食等営業ですが、「接待」ができません。
まぎらわしいですよね・・・
10ルクス以下の照度とは、バーのカウンターや上映前の映画館くらいの明るさです。
相手の顔が何とかわかる程度で、本を読むのは難しいです。
3号営業 区画席飲食店
●定義
引用:風営法 第2条第1項3号
喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
店舗例は、個室居酒屋です。
①客に飲食させる
②他から見通すのが困難
③5平方メートル以下の客席
の3つがポイントです。
同じく接待飲食等営業ですが、「接待」ができません。
漫画喫茶やインターネットカフェも個室を密室にすると要件を満たす可能性があるので、注意が必要です。
具体的な対策は、客室の高さを下げたり、客室扉に小窓をつけるなどです。
遊技場営業
4号営業 マージャン店・パチンコ店等
●定義
引用:風営法 第2条第1項4号
まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
※射幸心とは、努力や苦労をすることなく、利益や成功だけを願う気持ちのことです
店舗例は、定義に記載の雀荘(麻雀屋)やパチンコ店です。
個人的に麻雀が大好きなので、私自身が4号営業許可を取得するかもしれません笑
もちろん営業許可を取得しても、店内で賭け事をするのは禁じられています。
賭け麻雀は、プライベートで「黒川基準」を守って楽しみましょう!
5号営業 ゲームセンター等
●定義
引用:風営法 第2条第1項5号
スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
店舗例は、ゲームセンターなどです。
学生時代、大変お世話になったゲームセンターです。
全ての遊技設備が対象ではなく、国家公安委員会規則で定めるものに限定されています。
ここまでが風営法に規定されている狭義の風俗営業です。
性風俗関連特殊営業
店舗型性風俗特殊営業
1号営業 ソープランド
●定義
引用:風営法 第2条第6項1号
浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業
2号営業 店舗型ファッションヘルス
●定義
引用:風営法 第2条第6項2号
個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(1号営業に該当する営業を徐く。)
3号営業 ヌードスタジオ・個室ビデオ・のぞき部屋・ストリップ劇場等
●定義
引用:風営法 第2条第6項3号
専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場として政令で定めるものを経営する営業
4号営業 ラブホテル・モーテル・レンタルルーム
●定義
引用:風営法 第2条第6項4号
専ら、異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。)の用に供する政令で定める施設を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業
5号営業 アダルトショップ・大人のおもちゃ屋等
●定義
引用:風営法 第2条第6項5号
店舗を設けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業
6号営業 出会い系喫茶
●定義
引用:風営法 第2条第6項6号
1~5号に掲げるもののほか、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良の風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるもの
ここまでが、店舗を設けて性風俗を営む営業です。
無店舗型性風俗特殊営業
1号営業 派遣型ファッションヘルス等
●定義
引用:風営法 第2条第7項1号
人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの
2号営業 アダルトビデオ等利用のアダルト画像送信営業
●定義
引用:風営法 第2条第7項2号
電話その他の方法による客の依頼を受けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもの
映像送信型性風俗特殊営業
インターネット等利用のアダルト画像送信営業
●定義
引用:風営法 第2条第8項
専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達することにより営むもの
店舗型電話異性紹介営業
テレホンクラブ(入店型)
●定義
引用:風営法 第2条第9項
店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む。)を希望する者に対し、会話(伝言のやり取り含む。音声によるものに限る。)の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、その一方の者からの電話による会話の申込みを電気通信設備を用いて当該店舗内に立ち入らせた他の一方の者に取り次ぐことによって営むもの
無店舗型電話異性紹介営業
ツーショットダイヤル・伝言ダイヤル等(無店舗型テレクラ)
●定義
引用:風営法 第2条第10項
専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む)を希望する者に対し、会話(伝言のやり取り含む。音声によるものに限る。)の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、その一方の者からの電話による会話の申込みを電気通信設備を用いて他の一方の者に取り次ぐことによって営むもの
特定遊興飲食店営業
ナイトクラブ等
●定義
引用:風営法 第2条第11項
ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食させる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前6時後翌日午前零時前の時間において営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)
①設備を設けて遊興させる
②酒を提供する
③深夜営業する(0~6時)
の3つがポイントです。
ライブハウスも要件を満たすと許可が必要ですので注意ください。
深夜酒類提供飲食店営業
バー、酒場等
●定義
バー、酒場等、深夜(午前0時から午前6時)において、設備を設けて客に酒類を提供して営む飲食店営業(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く。)
①酒をメイン提供する
②深夜営業する(0~6時)
の2つがポイントです。
24時間営業の牛丼屋やファミレスが該当しないのは、「①酒をメイン提供する」の要件を満たさないからです。
お酒を提供することが、牛丼屋のメイン業務ではないですね。
対して、居酒屋やバーなどは「①酒をメイン提供する」の要件を満たしています。
まとめ
いかだだったでしょうか?
今日は風俗営業の全体像を説明しました。
飲食店等のお店を開業される方は、お店の営業形態を正確に把握することが大切です。
仮に風俗営業に該当する場合、開業場所や設備・内装の構造等の細かい要件を理解しなければなりません。
これらの全ての要件をクリアした上で、複数の図面含む多くの書類作成が必要です。
そのため、風俗営業に該当するお店で開業準備を進めながら、営業許可を取得するのは大変かと思います。
もし、お店の開業手続きで困ったことがありましたら、身近な行政書士へ相談されることをおススメします。
私の記事が風俗営業の全体像の理解につながれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。