福岡市博多区の行政書士つる(@ryoya_tsurusawa)です。
今日は、飲食店のHACCPの土台となる一般衛生管理について説明します。
一般衛生管理は、飲食店の7Sを土台としてHACCPを支えています。
飲食店の一般衛生管理とは、全ての食品に共通する一般的な衛生管理のことです。
一般衛生管理について知りたい方は、ぜひご参考ください。
では、各項目の目的やどういった点に注意すべきかについて説明します。
原材料の受入確認
目的:仕入れ食材による微生物汚染や異物混入などを防止するため
1.仕入れした食材は、担当者が検品を行い、記録を残すこと
2.仕入れした食材が、注文した商品名、数量、単位と相違ないかを確認すること
3.食材の品温、鮮度、品質、異物or虫付きの有無を確認すること
4.包装状態(包装の破れ・破損)、消費期限・賞味期限の残期間、保存方法、原産地等を確認すること
5.仕入れした食材の異常発生時の対処方法を明記し、異常時は経営者に報告し、記録すること
6.異常発生時は、返品して新しいものと交換すること
お客様が体調を壊した原因が、調理場の不衛生が原因でしたら、飲食店側が責任を取る必要があります。
しかし、仕入れた食材に異常があった場合、仕入れ先にも責任がありますよね。
こういったトラブルに備えて、食材は、いつ・どれだけ・どんな条件(配送中の鮮度管理)で仕入れるか明確に取り決めておいた方が良いです。
条件を明確に取り決めていなかった場合、仕入れ先の非を証明することが難しくなりますので、仕入れ先と契約書を作成することが重要です。
冷蔵・冷凍庫の温度確認
目的:保存時の微生物汚染を防止するため
1.先入れ先出しを徹底し、古いものが手前にくるように整理整頓すること
2.置き場所を決め、温度ごと、食材ごとに分けて保管すること
3.肉や魚が、生食する野菜等と交差汚染しないよう注意して保管すること
4.始業前または終業後(1日1回以上)に庫内温度(冷蔵は10℃以下、冷凍は-15℃以下)を確認すること
5.温度異常時の食材は、状態に応じて使用しないor加熱して提供すること
調理済の食品を最上段に保管し、肉や魚を下部に保管することで交差汚染を防ぐことができますね。
また、冷蔵庫内であっても食品を直置きしないようにしましょう。
交差汚染・二次汚染の防止
目的:別の場所に微生物汚染が移るするのを防止するため
1.調理台の上に段ボールなどの梱包材を置かないこと
2.冷蔵庫内を整理整頓し、食材ごとに置き場所を決めて保管すること
3.包丁やまな板を食材によって使い分けること
4.正しい手洗いを実施すること
食中毒の原因となる微生物が手を介して、食品に付着してしまうケースがあります。
こうした汚染を引き起こさないよう、食品を取り扱う時は正しい手洗いをすることを徹底しましょう。
器具等の洗浄・消毒・殺菌
目的:器具等の洗浄不良による微生物汚染を防止するため
1.40℃程度の温水で中性洗剤又は弱アルカリ性洗剤をつけて洗浄すること
2.熱湯、塩素系殺菌剤または70%アルコールなどで殺菌すること
3.よく乾燥させ、清潔な場所で保管すること
4.洗剤や消毒剤は、食品や食器とは離れた場所に保管すること
5.汚れた器具を長時間放置しないこと
汚れた器具を長時間放置すると、微生物が増殖しやすくなるだけでなく、汚れも落ちにくくなります。
トイレの洗浄・殺菌
目的:トイレは微生物に汚染されやすいので、洗浄・殺菌を行い汚染拡大を防止するため
1.汚物・吐物がないか確認し、あった場合、ノロウイルスの恐れがありますので専用の処理キットを使って殺菌すること
2.便座や便器外側の清掃を行った後、便器内を洗剤を使って清掃し、殺菌すること
3.壁面やドアノブ、手すり、水洗レバーなど人が触れる箇所を殺菌して、床面のふき掃除を行うこと
4.洗浄終了後、入念に手洗いをする
トイレ掃除の原則は、「上から下」「トイレの奥から手前」「便器の外側から内側」です。
また、汚染が大きい所から掃除をすると、汚染が少ない場所に汚染が広がる可能性があります。
汚染が少ない所から掃除を行いましょう。
トイレがきれいなお店は、イメージも良くなりますよ。
従業員の健康管理等
目的:従業員の健康状態を把握し、従業員から食品への汚染を防止するため
●手指に傷口がある場合
傷口(黄色ブドウ球菌)から食品を汚染しまう可能性があるため、調理作業させないようにすること
調理する場合、手袋を着用すること
●体調不良の従業員がいる場合
下痢等の症状がある場合、食品の取り扱いをさせないこと
医師の診断を受け、検便等を実施し、医師の診断を仰ぐこと
朝礼などで従業員の顔色を見るよう心掛けましょう。
日頃から従業員を意識して見ることが、健康管理につながります。
衛生的手洗いの実施
目的:手から食品への汚染を防止するため
トイレの後
調理場に入る前
汚染源となる食品にふれたあと
加熱工程のない食品にふれる前
盛り付け作業の前
廃棄物を処理した後、清掃の後
金銭を触った後
これらの場面では、手が汚染されている可能性が高いので洗剤でしっかり手洗いを実施しましょう。
基本中の基本「手洗い」を徹底することが特に重要です。
まとめ
いかかでしょうか?
一般衛生管理は、全ての食品に共通する一般的な衛生管理のことです。
特に難しく考える必要はありません。
継続するコツは、従業員が守れるルールと環境を作ることです。
そのルールを浸透させるには、「やってみせ」⇒「言って聞かせて」⇒「やらせてみて」⇒「ほめる」ことで従業員を躾ける必要があります。
7Sの躾が最も難しいと言われていますが、従業員への躾が、食中毒や異物混入を未然に防ぐには重要です。
もし、飲食店の衛生管理でお悩みでしたら私にご相談ください。
私の記事が一般衛生管理の理解につながれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。